卒業式の予行が終わった。いよいよ、残すは式本番のみとなった。
呼びかけの言葉が、早くなるところがある。どんどん「セリフ」が流れていって、味わい深くない。
これは、緊張しているせいだ、とは言い切れないと感じる。
無事に自分の役割を果たそうとする気持ちが、外に向きすぎているせいだと考える。すなわち、言葉が「セリフ」となり、自分の感情をともなっていないのではないかということだ。そうすると、気持ちは「よく見せよう」「失敗しないようにしよう」「無事に終えよう」という方向に働き、外へ外へと考えが向いていく。
逆なんだ。確かに、人に見てもらうものである以上、外側を意識することは大切だ。だが、卒業するのは、自分自身。もっと自分の内側を意識することで、思いのこもった言葉が言えるのではないかと思う。
これまでの生活を振り返り、努力してきたことを思い起こし、放たれた言葉は、必ず人の胸を打つ。見られているからとかは関係なく、自分の内側が相手に届く瞬間があるのだ。
元メジャーリーガーのイチロー氏が、語っていたことがある。
自分に厳しくしている人と、自分に甘い人とでは、どんどん差が広がってしまう。
厳しくできる人間は、どんどん求めていく。
自分を甘やかすことはいくらでもできてしまう。
そうなると、いずれ苦しむ日が来る。
自分に負けない厳しさを、私たちはどこまで持てているだろうか。
社会に出て行くにあたって、改めて問いかけたいことだ。