この話は、以前にしたことがあるかもしれない。
生まれて初めてもらったプレゼントのことを、覚えているだろうか。
おもちゃ。ゲーム。ぬいぐるみ…。いろいろなものが浮かんでくるかもしれない。
でも、それらはみんなが成長してから、もらったものだ。
生まれて初めてのプレゼント。
それは、「名前」である。
生まれた子どもに、親はさまざまな思いや願いをこめて名前をつける。
いや、「つける」のではなく、「贈る」のだ。
この小学校生活を通して、おそらく君たちがどの言葉よりも多く書いたのが、自分の名前だと思う。
私は、名前を大切にしたい。
だから、4月に「あだ名決め」を行った。友だちの名前に親しみをこめたり、自分の名前と向き合ったりしてほしかったからだ。
一年間、健康観察リレーとして、名前を呼んで返事をしてきた。名前を呼んで、返事をする。これが卒業式でも行われるのだから。
始業式の日。
1組と2組がクラスを発表され、「もう呼ばなくても、これが3組やん」という空気が漂っていても、私は全員の名前を呼んだ。
私は、名前を大切にしたい。
卒業式の中で、私が出せる声は、みんなの名前を呼ぶ声だけだ。
だから、返事に期待したい。
世界でただ一つ、自分だけに与えられた、生まれて初めてのプレゼントである、名前。
覚悟を持って、呼びたいと思う。